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用語解説・企業年金編

企業年金の仕組みと用語

001

企業年金は、会社が従業員の福利厚生の一環として任意で実施する年金制度です。公的年金に加えて支給されるもので、その形式には大きく分けて「確定給付型(DB)」と「確定拠出型(DC)」があります。各企業によって導入されている制度が異なるため、退職金制度の一部としてその用語を正しく把握しておくことが重要です。

このページでは、DBとDCそれぞれの仕組み、退職給付引当金との違い、ポータビリビリティ、裁定方法、給付算定式といった主要な用語を整理します。特定の商品を勧める目的ではなく、制度の仕組みそのものを客観的に理解するための読み物です。

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DB

確定給付企業年金の概要

用語番号 002

誰が運用の責任を負う?

企業が掛金を積み立て、運用も企業側の責任で行います。運用の成果に関わらず、約束された額が将来支給されます。

DB(Defined Benefit)は、将来受け取る年金額があらかじめ規約で約束されている制度です。給付額が「確定」している点が最大の特徴で、その計算方法は入社年数や役職などの要素をもとに各企業が定めた計算式に基づきます。

つまり、運用がうまくいってもうまくいかなくても、従業員が受け取る額は基本的には変わりません。運用の成果によって生じる利益も損失も、企業側が負うことになります。このため、従業員から見ると将来の受給額が予測しやすい反面、制度を維持する企業側のコストは運用環境によって大きく変動する仕組みです。

日本では2002年の確定給付企業年金法の施行以降、従来の適格退職年金から移行した制度としても広く知られています。退職金制度の一部として位置づけられることが多く、公的年金とは別に企業が独自に管理・運用する資金源となります。

DC

企業型確定拠出年金の特徴

用語番号 003

企業型DCは、企業が掛金を拠出し、従業員自身が運用先を選択する制度です。将来の受給額は運用の成果によって変動するため「自己責任」の側面が強い制度といえます。

運用商品には定期預金や投資信託などがあり、加入者はその中から配分を決定します。自分で選ぶ分、自由度が高い反面、運用に関する知識が必要となる点がDBとの大きな違いです。ここでいう「確定」は拠出額のことであり、受け取る額は確定していません。

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機械式計算機と帳簿

DC = 自己選択の運用

DBとDCの仕組み比較

用語番号 004 — 項目別整理

比較項目
確定給付(DB)
確定拠出(DC)
給付額の確定
あらかじめ約束される
運用結果で変動する
運用の責任
企業側
従業員側
掛金の負担
企業が全額(一部負担もある)
企業+マッチング拠出可
受取額の予測
比較的容易
運用次第で不確定

退職給付引当金との違い

用語番号 005

退職給付引当金は会計上の概念であり、将来の退職金支払いに備えて企業が帳簿上に計上する負債を指します。企業の貸借対照表に記録される数字であって、実際の資金が外部に積み立てられているわけではありません。

これに対し企業年金は、外部の金融機関等に資金を積み立てるものです。信託銀行や生命保険会社などに資金が移されるため、企業の帳簿上の負債とは性質が異なります。

両者の最も実務的な違いは、企業の倒産時の扱いです。退職給付引上金は一般の債権と同様に扱われる可能性がある一方、企業年金として外部に積み立てられた資金は、一定の保護を受ける仕組みとなっています。

つまり、同じ「退職時の给付」に備える仕組みでも、帳簿上の準備と外部への積立では、会社が経営難に陥った際の従業員の保護度合いが変わります。この違いを理解しておくことで、自社の制度がどの程度安全なものか判断する材料になります。

なお、企業年金の積立資産は、企業の一般財産とは分別管理されているのが通常です。これにより、企業が破綻した場合でも積立金が他の債権者に分配されるリスクが軽減されています。

一方で、退職給付引当金は会計上の負債計上にすぎず、それ自体が独立した財産を意味しません。両者を混同しないことが、制度の全体像を理解する第一歩と言えます。

006

ポータビリティ制度の仕組み

転職した際、それまで積み立ててきた年金資産を新しい職場の企業年金制度や個人型DC(iDeCo)に移換できる仕組みです。これにより、キャリアの途中で年金資産を現金化することなく、老後のための資産形成を継続することが可能になります。

移換先にはいくつか選択肢があります。転職先に企業型DCがあればそこへ移す、なければ個人型DCへ移換する、または従来のDBの資産を維持したまま引き続き運用を委ねる――といった対応が制度に応じて取られます。手続きが自動で進む場合と本人の申出が必要な場合があるため、転職時に制度の確認をしておくことが実務上重要です。

007

拠出金と掛金の定義

企業年金制度において積み立てられる資金を指します。DBの場合は企業が全額負担することが一般的ですが、規約により従業員が一部を負担する場合もあります。

企業型DCでは、企業拠出に加えて従業員が自身の給与から上乗せして拠出する「マッチング拠出」という仕組みもあります。この場合、上乗せの上限は企業拠出額を基準に定められるのが一般的です。

確定給付企業年金・企業型確定拠出年金・退職給付引当金・ポータビリティ・マッチング拠出・給付算定式・裁定方法・企業年金連合会

008

裁定(受取)方法の選択

企業年金を受け取る際、一生涯受け取る「終身年金」、一定期間受け取る「確定年金」、または一括で受け取る「一時金」から選択できる場合があります。選択肢は各企業の規約によって定められており、すべての選択肢が用意されているわけではありません。

税務上の扱いも選択肢によって異なります。年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象となることが多い一方、一時金として受け取る場合は退職所得控除の対象となることが一般的です。どちらが有利かは受け取る時期や金額によって変わるため、制度の用語を理解したうえで、各社の規約を確認する必要があります。

009

給付算定式の基礎

DBにおいて年金額を算出するための計算式を指します。「退職時の給与 × 勤続年数係数」といった形式や、ポイント制(役職や評価をポイント化して累積する方式)などが採用されています。

算定式の例

退職時月額給与 × 勤続年数 × 係数 = 年金月額

この算定式を理解することが、将来の受給予測を立てる基礎となります。ただし実際の計算は各企業の規約に依存するため、ここで示しているのは概念上の形式であり、自社の規約で確認が必要な部分です。

資産運用の基本用語(DC向け)

用語番号 010

010-A

アセットアロケーション

資産配分のこと。株式・債券・現金など複数の資産クラスに資金をどう振り分けるかを決める基本的な考え方です。配分の割合によって、リスクとリターンの特徴が変わります。

010-B

リバランス

再調整のこと。設定した配分比率が運用の結果ずれてきた際に、元の比率に戻す操作を指します。定期的に見直すことで、意図したリスク水準を維持する考え方です。

これらは投資信託などを運用する際の基本的な考え方ですが、当サイトでは特定の商品の推奨ではなく、あくまで運用の用語が何を意味するのかを解説しています。個別の商品選定は各加入者の判断事項です。

古い帳簿の束
011

厚生年金基金の現状

用語番号 011

かつては企業年金の主流でしたが、現在は多くの基金が解散または他の制度へ移行しています。過去に厚生年金基金に加入していた記録がある場合、企業年金連合会から年金が支給されるケースがあるため、古い記録を確認する際の重要な用語となっています。

企業年金連合会の役割

用語番号 012

厚生年金基金などを短期間で脱退した人の年金原資を引き継ぎ、将来年金として給付を行う組織です。複数の職場を渡り歩いた場合でも、連合会に記録が統合されていることがあり、年金の受け取り漏れを防ぐための重要なキーとなります。

就職先を何度か変えた場合でも、古い加入記録が連合会に残っていれば、そこから給付を受けられる可能性があります。特に転職期間が短かった場合や、過去の基金が解散した後に記録が移管されている場合には確認の価値があります。

よくある質問

用語に関する疑問

DBとDCの最大の違いは何ですか?

将来受け取る額があらかじめ約束されているかどうかです。DBは企業が額を約束し運用責任も負います。DCは企業が掛金を拠出しますが運用は従業員が選び、受け取る額は運用結果次第で変動します。

マッチング拠出とは何ですか?

企業型DCで、企業の拠出に加えて従業員が自身の給与から上乗せして拠出する仕組みです。上乗せ額の上限は企業拠出額を基準に規約で定められるのが一般的です。

退職給付引当金と企業年金の違いは?

退職給付引当金は帳簿上の負債計上であって、外部に資金が積み立てられているわけではありません。企業年金は実際に外部の金融機関に資金が積み立てられ、企業倒産時の保護も異なります。

ポータビリティは自動で行われますか?

制度によって異なります。転職先の制度に自動で移行する場合もあれば、本人の申出が必要な場合もあります。転職時には自社の制度と転職先の制度を確認することが実務上推奨されます。

アセットアロケーションとリバランスの関係は?

アセットアロケーションは資産の配分比率を決めること、リバランスは運用結果でずれた配分を元に戻すことです。両者はセットで運用の基本となる考え方ですが、当サイトでは商品の推奨ではなく用語の意味を解説しています。

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企業年金の仕組みを理解したら、次は公的年金の基本や受給に関する用語を整理すると全体像が見えてきます。年金用語解説ナビでは、基礎的な用語を段階的に解説する読み物を用意しています。

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